地球ドライブのノウハウ(26)一般的な旅行術


■なぜ旅するのか

  旅は当初の想定通りすばらしいときがあり、苦しいときもある。旅が長くなり、よいことばかりなら
 よいが、さまざまな困難に遭遇すると「なぜ旅をしているのか。なぜこんな苦労をしてまで前進しなけ
 ればならないか」という自問自答が待っている。旅の目的をしっかり見定め、発生する問題解決へのエ
 ネルギーの対価にふさわしいか、事前にしっかり認識し、旅行中は再確認しなければならない。

■健康第一

 ○健康を害すると、すべてがストップする。交通事故、食中毒、ケガ、体調不良、病気、強盗等には細
  心の注意が必要である。

 ○一般的に、開発途上国の輸血用血液はC型肝炎の検査がなく、現地で輸血を受けることは避けた方が望
  ましい。輸血は日本か先進国がベストだが、やむを得ないときはそれなりの覚悟が必要である。世界
  はマラリア、エイズ、結核も現在進行中である。

 ○最近のマラリアはクロロキン耐性が多く、クロロキン単独投与では予防は不十分で、メフロキンやサ
  バリン(クロロキンとプログアニルの合剤)等の予防投与がよい。予防薬も100%の予防効果はないの
  で、マラリアを疑わせる発熱、頭痛、嘔吐、倦怠、下痢等の症状があったときは早急の検査が必要。 

 ○健康に対する危険をすべては網羅はできないが、一般的には、開発途上国では温度・湿度変化による
  カゼ、安全分娩困難、医師や看護婦等の不足、医療技術の稚拙、医薬品の不足、犯罪被害危険、不衛
  生な食物・生野菜・水・氷・加熱不十分食物等からの経口感染症(コレラ、赤痢、腸チフス、アメー
  バ赤痢、A型肝炎等)、毒蛇・毒グモ・毒サソリ・毒魚・毒蛾・毒虫・毒蟻等には抗毒素血清なし、
  ハエ幼虫症(ハエウジ病。湿っている洗濯物にハエが卵を産み、その服を着用すると体温でウジにな
  り、そのウジが皮膚にはいると発症する)、風土病、栄養不足からの病気の抵抗力低下---で危険は尽
  きない。

■見所を逃すな!

  目的地、名所旧跡、観光スポット、朝陽夕陽が映える場所、風光明媚箇所、市場、祭、行事等、予想
 したものと、予想外の出会いが待っているが、旅の情報を事前にさぐって、なるべく見逃さないことで
 ある。夏季と冬季、乾季と雨期、雨の日と晴天日、昼間と夜間では、印象が大きく違うこともある。個
 人のスタイルによるが---旅にどっぷり浸ってその場で一体化していると、他のことは考えたくもないが、
 後のことを考えると一時を犠牲にしてでも写真、録音、資料収集等に多少のエネルギーをさかねばなら
 ない。
   
  私の場合はさらに、カメラのシャッターを1回押せばその分のフイルム・現像・送付代と食事1回分
 の金勘定が同じになり、少ない予算のなかで「お金は使わず状況に酔いしれて至福の一時を過ごすか、
 事後のために貴重な資金を使って写真を撮り、同時に至福の時を多少失うか」たびたび苦悶した。今日
 のデジカメ時代は写真1枚当りの金がわずかしかかからないので、緊縮予算でも難なくシャッターを切
 れるのがうれしい。

■情報は命なり、黄金なり!

 ○ドライブルートや観光スポット等の情報があるとなしでは、天地の差がつく。実り多い旅にするには、
  事前に集められる限り情報を収集すること。本、地図、資料、自動車クラブ、大使館や領事館、旅行
  者、地元の人、国境の役人、旅行案内所、ホテル、モーテル、ユースホステル、バックパッカーズホ
  テル等。

 ○観光地、キャンプ場、ユースホステル、国境、ビザ取得時の外国大使館等では、よく旅行者に合う。
  この中に、これから行く地からきた旅行者は価値ある情報を持っている。闇両替地・人、料率、安宿、
  キャンプ場、給油所、観光スポット、悪徳役人、交通検問、市場、道路状況、ルート、ビザ取得場所、
  国境通過時の問題---。これらをボンヤリ見過ごすのと、千歳一隅の機会と価値ある情報収集に奔走す
  るのとでは、旅の質や難易に天地の差でる。

 ○事例をあげればきりがないが、私の場合、ケニアとエチオピアの国境でヒッチハイクをしていた旧ユ
  ーゴスラビア人青年を乗せて、情報を聞き出さなかったら「アフリカ横断はできなかった」のである。
  それまでは、コンゴ民主共和国の悪路は4駆車で複数メンバーによる複数組コンボーイしか通行でき
  なかった。単独の2駆車でかなりの中古車は無理だった。このため、ケニア東岸のモンバサ港からセ
  ネガル西岸のダカール港への横断ルートは極めて難しく、スーダンからエジプトへ北上するしかなか
  った。ところが「英国の平和部隊員は、乾季に2駆車でスーダンの南西から中央アフリカに行った、
  ときいたことがある」というのである。これで私の決断はアフリカ横断に切り替え、道がないスーダ
  ン西部のある区間は車を貨車に乗せたりして、横断できたのである。彼にはサングラスを盗まれたが、
  この情報は十分すぎる価値があった。

■人との接し方

 ○キーワードは礼儀正しく、挨拶、清潔、誠実、明るく、笑顔、謙虚、質素、前向き、思いやり、ユー
  モア、知的、見下げない等。外国人は、とりあえず旅人の風貌・言動・国籍・出身地、および車の内
  外等を見て評価する。鼻つまみにされて相手にされないか、温かい家族に招待されて楽しい一時をす
  ごせるかは、そのときの事情によるが、第一印象が99%決定づける。

 ○折り紙、手品、楽しい旅の話ができる等の話芸、柔道、空手、剣道、茶の湯、その他なんでも一芸に
  秀でていれば交遊の手助けになる。赤ちゃんをあやすのが上手、子供相手がうまい、異性や老人にも
  てる方法を心得ている、旅の目的が地元民の同情を引いたり関心を呼ぶ、地元民のプライドをくすぐ
  るのがうまい---芸は身を助ける。しかし、芸は身を滅ぼす危険もあるので細心の注意が必要である。

■知り合った方から自宅等に招待されたら

 ○それぞれの国際社交術で、絶好の機会を生かす。良い会話は、必ず良い結果をもたらす。会話は、と
  きにはすべてのジャンルにおよび、多くの話題を「知らない」「興味の対象外」といっては会話はか
  ぎられてしまい、つまらない出会いになってしまう。逆に、すべての話に花を咲かせるには、まさに
  スーパーマン的な知識を要求されるが、少なくとも自分の旅、母国の文化等の正確な知識は持ってい
  たいものである。私は、日本の観光用カラースライドを約800枚と英語の解説カセットテープを用
  意し、ラジカセとプロジェクターで日本紹介のカラースライドショーをしたが、大変好評だった。次
  回は日本紹介のCD-Rや「その場で自分のホームページに写真を載せて見せてあげる」等をして好意
  に応えたい。

   また囲碁や将棋をやっていたおかげで、チェスはすぐ上達し、交友には大いに役立った。ただし、
  宗教、政治、セックス、悪口は微妙で、相手を傷つけたり、場の雰囲気を壊すこともあるので、深入
  りしないことが賢明である。

 ○日本人の特徴に「あいまいな態度」があるが、レストランに招待されて、オーダーまでに2〜3分以
  上もかかれば、相手はイライラするだろう。会話では、イエスとノーを早目に、はっきり表示しない
  と誤解を招く。せっかくの機会だから旅に関する情報の収集、行く先の友人等の紹介、食事・風呂・
  洗濯・宿泊ができれば申し分ない。アルコールには飲まれないこと。お礼は十分に述べ、その後は尽
  くされた程度や親交の度合いに応じて手紙・葉書・Eメール等で旅の情報等を知らせるとよい。私は
  終生の友が何人もできた。

 ○星の数ほどいる善良な人々にまぎれて、たまには悪い人もいるので、注意深く観察すること。中には
  こちらが気を許すまで何日も演技し、ある日突然泥棒等に豹変するので、遭遇したら最悪である。私
  は、就寝中はもちろん、信頼が確立されるまでは、風呂のなかでも、貴重品は離さなかった。

 ○失敗例:風呂に入っていたら浴室内のガス湯沸かし器の火が消え、お湯は水になり急に息苦しくなっ
  て慌てて室外に飛び出し命拾いした。浴室の窓は閉まっており、酸欠になっていた。

■現地人の宗教観や政治意識とどう付合うか

  個人の考えで千差万別だが、対応を誤ると感情を害し問題になりやすいので、相手に不愉快な思いを
 させないような理解と気配りが望ましい。相手と浅い付合いで、宗教や政治に深入りするのは危険であ
 る。

  一般的に、個人が持っている政治意識等は、その人を育んだ思想や利害に深くかかわっている。これ
 と同意見なら問題ないが、異なる場合は険悪になり、深入りするだけ気まずい思いが増す。
 
  宗教も同じである。例えば、ほとんどのイスラム教徒は穏健であり、付合いが浅ければ何ら問題ない。
 進歩的な人?はアルコールも豚肉もポルノも何でもOKで、イスラム教離れを起こしているように見え
 る。これはキリスト教徒も同じで、特に若い人は「聖書が正しい証拠はない」と距離を置いている人が
 激増している。

  ところが、一部のイスラム教徒は厳格な一神教の神アッラーや預言者マホメット=ムハマッドを熱心
 に信奉し、他の宗教は邪悪と無視、軽蔑している。イスラムとはアラビア語で「絶対的帰依、服従」
 「平安」を意味する。従ってイスラム教から他の宗教への改宗は死刑になる。他の宗教の偶像は禁止し
 ているので、これらの偶像は全世界規模で勝手に破壊している。無宗教者もイスラム教を認知していな
 いと軽蔑される。原理主義的な信奉者は科学技術を軽視し、信仰と低効率的な生活に甘んじている。そ
 れでいて科学技術で豊になり、海外旅行等、自由な生活をしている人をねたんでいるので、対応が難し
 い。

■現地の子供とどう付合うか

  基本は国内と同じだが、世界にはいろいろな事情があり注意が必要である。

  o東洋人や日本人を差別したり、嫌悪している環境下の子供とは問題がおきやすいので、できれば避
   ける。韓国の映画やテレビでの「日本人は常に悪役」に長い間刷り込まれていると、現実の世界で
   も勘違いしやすい。中南米の映画に登場する悪役は常に「東洋人」「チーナ」であり、スイスの子
   供でも東洋人の蔑視は常識である。

  o部族闘争、叛乱地域等では投石されたりして危険なので、現地人のアドバイスを参考にする。クル
   ド人が多いトルコ東南部では通行車めがけて投石するが、深追いは禁物である。これらの子供が待
   ち構えていたら速度を落として止まる構えをすると逃げた、という人がいた。

  o犯罪多発地帯は、事前に日本の外務省のホームページの「安全情報」で調べて上手に避ける。

  o物乞いには慣れっこになるほどたくさん遭遇するが、どう付合うかは個人の判断次第である。私は、
   基本的には、状況により臨機応変に対応した。

■各国の大使館や国境等の役人、地方の警察官や軍人とどう付合うか

 ○礼儀正しく、謙虚に、質素に、怪しまれる言動をしない。大使館等でのビザ取得時には「一見、金持
  ちのぼんぼん風」が無難である。

 ○国境役人、警察官、軍人等が銃や権力をかざして威嚇し、種々の理不尽な理由をつけて金品をせびっ
  たりする場合がある。この場合、自動小銃を片手に酔っていたりして話の余地がないほど危険な場合
  や、逆に「あなたの名前と所属は」と聞けるほど余裕が感じられる場合、およびその中間がある。相
  手の要求は、煙草程度から、車内の物品やお金にいたる場合がある。こちらにも弱みがある場合もあ
  り、全体を判断して臨機応変に対応しなければならない。車体に油性ペン等で自分の名前や好きな言
  葉等をサインさせると「いってよし!」となること多し。

 ○交通事情が極端に悪くて、無理やり、またはやむを得ない事情で「○○まで△△を同乗させてくれ」
  等と頼んでくることがある。いずれも状況判断次第である。私は、通常の同乗はたくさんあったが、
  ペルーの首都では、夜間、目前の家の階段から転落した旦那を病院まで運んで感謝された。ただし、
  ねぼけまなこで慌てて発進したので、中央分離帯に乗り上げてしまい、危うく交通事故を起こすとこ
  ろだった。アフリカのコンゴ民主共和国のジャングルでは、流産して足元まで血を流していた女性を
  診療所まで乗せ、カーペットが鮮血で汚れたときがあったが、期せずしてアフリカの医療・救急事情
  を垣間見れた。中央アフリカの田舎の郵便屋は乾季のみ、それも1か月に1回位しか集配しないので、
  土地の人から郵便物の集配をおおせつかった。

■物乞い役人・軍人・警察等とどう付き合うか

 ○イスラム教徒には、彼らの宗教への尊厳を表しつつ、メッカのカーバ神殿の写真を見せ「巡礼者」
  「ハッジ=巡礼」といって、「行ってきた」「これから行く」といえば効果あり。現地の言葉がわか
  らなくても「アッラーアクバル!(神は偉大なり)」と何度も叫べば許してくれる可能性大。

 ○中南米では、自分は「神父」だというと、あっさり引き下がることあり。

 ○中進国では「新聞記者」も効果あり。

 ○車体にサインさせると大人しくなる顕示欲者あり。

 ○相手がおどおどしているときは「あなたの名前は、所属は、階級は---」等と高飛車にでると言葉を濁
  して退散することあり。

■旅は忍耐を強いられる

  この種の旅は、得られる結果が素晴らしい反面、準備・手続・予算等で努力、忍耐、修行、勉強等を
 強いられる。「旅は待つこと」と何度も忍耐しなければならない局面に遭遇する。ただし、得られた結
 果には、その分だけ感動や挫折感が倍増される。「いかにして交通事故に遭わないか」ということだけ
 でも、全力を尽くして努力した者のみに「無事故無災害」という幸運が与えられる。目には見えなくて
 わかりにくいが、努力や忍耐は成功や幸福への正道であり、最短距離の近道である。
  
■旅にはトラブルがつきもの

 ○最初から、この種の旅には山ほどの難題が待っていることを認識しておくこと。実際に遭遇しても、
  被害妄想やとりこし苦労は決してしないこと。ある意味で、結果は計画の精緻さや、実行力の帰結な
  のだから、緻密な計画とあくなき努力や忍耐で、かつ楽天主義で挑んだ方がよい。毎度とりこし苦労
  をする性質の人は、この種の旅の完遂は難しいだろう。

 ○難題が発生して頭がおかしくなりそうなときは、できれば「いったん難題から離れて気分転換するこ
  と」。気分転換後は難題を別の視点から見ることができ、意外と簡単に解決策が見つかるもので、難
  題に押しつぶされていた自分が滑稽に見えることが再三再四あった。特に相談相手がいない孤独の限
  界を知らされることがあった。

■積極的に現地の料理・食事・食マナーにチャレンジしよう

  個人の目的や考えは違うし、予算にも多寡があるから普遍的ではないが---、せっかくの機会だから極
 力現地の素材で、現地風に料理し、現地のマナーで食べてみよう。何度か経験を積むと、必ず発見や感
 動があり、これまでより考えの幅が広がり、物事を多角的に思慮できるようになる。生活の基本である
 衣・食・住のすべてを現地で体験できればよいが、せめて食だけでも試してみよう。特に、人類の過半
 数を占める開発途上国人の常食を、彼らと同じ方法で、同じ量を同じ回数食べると、これまでの自分と
 の比較ができて、地球が見えてくる。

  老婆心ながら、日本の食事作法は「他人に不愉快な音を立てない」が原則。皇室、外交官、神社仏閣、
 良家、真の教養人等は決して音は立てない。ところが教養を自負している人を含め、日本人の多くは麺
 類等で音を立てるのがマナーと思っているが、とんでもない。これは、日本文化の一つの特徴である
 「貧の文化」、つまり貧しさゆえ食作法確立まで手が回らず、広く庶民にまでは育たなかったことと、
 落語やテレビの宣伝の悪影響が大きいと思われる。江戸落語では、

   @ 下町の熊さん八つぁんが、
   A 酔って、
   B 悪ふざけして、
   C 教養のある武士や山の手階層の作法を茶化して、わざと無作法に音を立てて食べる仕草をして、
     粋がった。

  江戸時代では町民でも、食事に音は立てない作法を熟知していたのである。娯楽が少ない時代、この
 落語という数少ない娯楽をラジオやテレビで繰り返し放送したので、いつしか「麺類は音を立てて食べ
 るもの」となった。ラジオでは麺類の食べる仕草を大げさにしないと伝わらないので、わざとズ−ズ−
 とやった。テレビのCMでも同じだった。(江戸風俗史研究家の故杉浦日向子氏談)

■写真

 ○フイルムは一流品でないと撮影前と撮影後の経年劣化が早く、細部がぼやけたり、ゴミがついていた
  り、色があせる。デジカメの記録媒体は静電気に注意が必要である。

 ○一般的に撮影禁止場所は軍事関連施設と付近、国境と国境付近、イスラム教徒の礼拝、イスラム女性、
  カメラに慣れていない部族、運河や鉄道等の戦略拠点である。

 ○人にいきなりカメラをむけるのは失礼である。特に未開の地では、相手の警戒心を解くように振る舞
  い、撮影許容の度合いを見極めること。中米のガテマラでいきなり原住民を撮り、殺された日本人観
  光客がいた。

   私は、南米のジャングルで、裸族に近い生活をしている人々の結婚式に遭遇したときは、彼らの雰
  囲気をぶち壊しては失礼だと、カメラをかくしつづけた。内心は、最高の写真が撮れるのにと悩んだ
  が、迷惑はかけられなかった。私の容貌が少し違うので、祝い酒で酔ったインディヘナから「どこか
  らきたか」と聞かれたが、日本といっても、相手が聞いたこともない地名では混乱すると思い、「ち
  ょっと川下からきた」といったら、安心していた。幻想的な世界に立ち入れただけでも、よしとしな
  ければならないだろう。
 
   また開発途上国や未開地では、撮影料を生活の重要な糧としている人が多いので、心得ておきたい。

 ○撮影後のフイルムは早めに現像にだす。撮影済のフイルムを長期間所持すると紛失、破損、盗難、変
  色、劣化等する。開発途上国や情報管理が厳しい国からは、日本に届かないことがあるので、郵送等
  は安心できる都市や国から行う等、計画的に行わないと、すべての努力がムダになることがある。私
  の場合、南アフリカとインドからのが届かなかった。

 ○デジタルカメラの場合は、撮影後に世界各地から、フイルムに相当するメディア等(カメラのメーカ
  ーによってスマートメディア、○○ディスク・PCカード・スティック等と呼称が違う)をパソコン
  に入れて持ち帰るか、メディアや記録保存したUSBスティック等を直接郵送すればよい。通常、メ
  ディアやUSBスティック等は再使用できるので、フイルム時代に比べて革命的に便利になった。

■ビデオ撮影、録音

  自然や公開音楽は別として、人の会話等はいきなり撮影や録音をすべきではない。また、国境等では、
 ビデオや録音機はカメラよりはるかに疑われ、検査に時間がかかることがあるので、心得ておきたい。
  
■車を無人にして観光や小旅行等をするときは

  車が無防備になり、非常に危険である。できれば信頼できる駐車場に預ける。信頼できない駐車場が
 あるのも事実で頭痛の種だが、有料の見張り屋がいる所はこれを活用するのも一方法である。さらに、
 見張り屋が泥棒だった等ということもあるので、慎重に吟味しなければならない。給油所やオートキャ
 ンプ場は比較的安全だから、車はここに預けて、街中の移動は力車、バス、タクシー等という手もある。

■日本びいき、日本嫌い対応

  日本びいきは大変ありがたい。だが、この手を利用した詐欺師には要注意。日本嫌いは相手にせず。

■日本大使館・総領事館の活用

 ○パスポート手続き(各国の入出時押印欄補充、期限切れ・盗難時等の再発行、記載内容変更等)

 ○手紙等の受領(一般的には郵便局留めより安全だが、旅行者が勝手に他人のものを持っていける所が
  あり、危険はある)

 ○新聞等の閲覧(日本の事情はここでわかる。日本語に飢えたら、ここで癒せる)

 ○各種情報の収集(館員からの情報、そこで出合った旅行者同士の情報交換等、旅に必要な情報が得ら
  れることがある)

 ○問題の相談(外国で最も頼りになるありがたい機関。緊急時等は相談するとよい。しかし、自分のこ
  とは自分で解決するのが基本であり、家族や友人知人に助けを求めることを先にやるべきである)。
  悪徳警官等に無心されたら大使館等に目前で電話し、「大使館の人と直接話してくれ」といえば、た
  いていは退散する。

 ○1か国に3か月以上の長期滞在は、登録しよう。インターネットでも可。

 ○新年や天皇誕生日等にはお祝いをする所がある。

 ○60か国の日本大使館等に付属して70名の日本人医師が常駐しており、非常時には相談できる。
  (2001.9現在)

■現地の特産物製造・栽培地を訪問しよう

  旅の目的にもよるが、珍しい外国人が極秘でもない工場や栽培地を訪れて見学を申し入れると、たい
 ていは許可され、興味ある情報が得られて、お土産までもらうことがある。アフリカではコカコーラ製
 造所、魚の塩漬や干物製造所、マラリアの特効薬キニーネ栽培地、コーヒー栽培地、ダイヤモンド採掘
 所を、インドのダージリンでは有名な紅茶栽培地を、フランスや米国ではシャンペンやワインの仕込蔵
 を、オーストラリアでは鯨解体所を、カナリア諸島のラスパルマス市では日本漁船がマグロを卸してい
 た魚市場を、米国のカリフォルニア州ではカーネーションや菊の温室栽培所を、南米のコロンビアでは
 カカオ栽培地を、アルゼンチンでは日系人のワインヤードを、その他数多くの社会見学をした。

■市場での失敗

 ○中央アフリカの路上市場で、見なれぬ野菜に興味が引かれ、どんな香りがするのかと、野菜に顔を近
  づけて匂いをかいでから、買わずに去ろうとしたら女店主に叱られた。うす汚い異人種が、鼻や顔を
  近づけたものは、売り物にならぬと癇にさわったらしい。

 ○エクアドルの公営市場で「5円安くしろ、10円高い」と値切っていたら、「大の大人が5円や10
  円でガタガタいうな!オレたちゃお前の国の製品を値引きせずに黙ってに買っているじゃないか」と
  どやされてしまった。

 ○ネパールの路上市場で、おばさんから肉を買おうと水牛の肉塊をわけてもらったら、脂身がたくさん
  入っていた。「この脂身は要らないから、別の赤身と取り替えてくれ。金はその分払うから」といっ
  たら、「これも肉だ!そんなことはできない!」と叱責された。ここでは、赤身のみは売らない方針
  だったらしい。ここには赤身だけの商売はないのである。

■無税で買物

 ○一般的に、食料品や消耗品以外で一定額以上の買物をするとき、先進国はかなりの物品・消費税等の
  課税がある。しかし、無税店で買えば無税だったり、税込みで買っても購入時に手続すればに出国時
  の国境等で払い戻してくれる。南アでも、国内で買った物品は出国時に免税カウンターに領収書を示
  せば税金が払い戻される。

 ○ヨーロッパでも、車購入時は輸出用にすれば無税になる。私はベルギーで購入し、ナンバープレート
  は輸出用で車検期限がなかったので、これで各国通過もカルネの更新も何ら問題がなかった。それも
  9年間。

 ○日本帰国時の土産品は「1品目1万円を超える物の合計が20万円以上の場合」に課税される。従って
  1品目毎の価格が1万円以下のものは含まれない。1品目1万円以下で30品目で30万円以下の場合は
  無税である。1品目30万円だと30万円すべてが課税される。

■ヒッチハイカー、バッグパッカーとの付合い

  これらの対応は3つに分かれる。

  @無視する。売春や誘拐目的で便乗を依頼してくる美人がいる。泥棒には2度やられた。

  Aやむをえない状況のみ便乗させる。私はときどき救急車のような役割をおおせつかり、これは積極
   的に協力した。郵便屋さん役もおおせつかった。

  B相手を選び、旅は道連れで旅の楽しみは倍加する。数え切れないほどの旅人、住民等を乗せ、旅が
   充実した。尼僧を乗せたときは楽しい会話、食事、風呂、ベッド---といたれりつくせりだった。ネ
   パールではおばあさんを乗せた。やがて風貌がネパール人と似ている私に安心してネパール語で話
   しかけてきたが、私がネパール語を話せず外国人だとわかると一目散に下車していった。

■食堂

  地元民が大勢いる所は安くてうまい、は日本の常識と同じ。

■チップ

 ○チップは主に先進国のみだが、欧米人が多い開発途上国の観光地も値段の10〜15%は覚悟しなければ
  ならない。

 ○クレジットカードで支払う時のチップは、請求書に「TIP 15%」等と書いてサインすること。

■便所

 ○原野でのトイレは何もない所で風にお尻をさらしてするのがよい。やぶの中などは毒蛇や蚊等がいて
  危険である。

 ○町の公衆便所は有料が少なくないので、小銭をもってゆこう。

 ○一部の国では使用済みのトイレットペーパーは目前の容器に入れる。溶けない用紙を使用しているか、
  下水管が古くて詰まる等の事情があるらしい。

 ○開発途上国やイスラム圏等は用紙を使わず、目前の容器の水を手でくんで洗うことになる。郷に入っ
  ては郷に従うか、事前に用紙を準備するかは本人次第である。日本のように自動洗浄は皆無に近い。

■キャンプ

 ○原野から町に入って宿泊するときは、明るいうちがよい。暗くなると勝手がわからず、不適当な場所
  でキャンプし、問題を起こすことがある。私はパナマとアルゼンチンで軍事基地内に入ってしまい、
  キャンプしていたら武装した軍人に取り囲まれ、数人から銃を突きつけられて追い出された。

 ○車外での宿泊テントは地味で目立たないのが良い。目立つ色だと住民や悪人がきて問題が起きやすい。

■安宿

 ○世界の安宿情報は http://ha9.seikyou.ne.jp/home/sometimesomewhere/yasuyado.htm
  ある日本人旅行者が宿泊した宿は http://www7.plala.or.jp/tabifufu/

 ○世界中にあるユースホステルは安い。

 ○日本人が経営する世界の宿は便利 http://www.tabi-ichiba.com/sekainoyado.html

 ○欧米ではRV PARK やモーテルがどこにでもあり、比較的安くて便利。

 ○都市での宿探し等はどこでも英語等が話せるタクシーの運転手に先導してもらうと便利。

 ○本「地球の歩き方」は参考になるが、時間の経過とともに情報が変わっていることが少なくない。

 ○いかなる宿も貴重品は肌身離さず、が原則である。立派なサーフティボックスがあっても安心できな
  いのが世界である。

 ○客引きに案内された宿は危険、と決めつけはできないが、町の観光案内所ならより安全である。

■釣

  ほとんどの先進国はライセンスが必要。開発途上国は制限なしが多い。
 
■カジノ
 
  旧ソ連や東欧を除けば公式には120か国、非公式にはほとんどの国が公営ギャンブルOK。ただし、
 分相応に。

■情報収集

 ○旅行者が立ち寄る所と時は同じことが多く、旅仲間から宿、観光名所、ルート、道路事情、両替、危
  険回避等のあらゆる情報交換に活用すべし。これを丹念にやるか、ボヤーとして見過ごすかでは後日
  の旅の質に天地の差が生じる。

 ○困ったことや探し物は住民に相談するのがベスト。とにかく納得できるまで何回でも気軽に質問でき
  るように習慣づけること。

■その他

 ○家庭用電気の電圧は100〜240ボルト、周波数50か60ヘルツ、コンセントプラグ形状は7種類あるので、
  必要に応じて変圧器(2,600〜6,200円)やプラグ(万能プラグ2,300円)を用意する。

 ○国際学生証は美術館や遺跡等で料金が安くなるところがあるので便利。各国ともユースホステルでは
  国際学生証の入手先がわかる。費用は数百円。

 ○二輪車、自転車、リヤカー、徒歩旅行者等は野犬、牧畜犬、ツェーツェーバエ、アブ、蜂、熊等から
  いち早く逃げること。

 ○アフリカで醤油を探すと中国製の「醤油王LIGHT」が多く、日本製醤油はエジプトのカイロやケニアの
  ナイロビとか限られている。

 ○女の館。ほぼ全世界で公認非公認にかかわらずある。エイズも性病も蔓延しているからご注意を。

 ○一般的にインフレ進行中の国では、外貨を持っている旅行者にとって飛行機賃が安い。いざ飛ぶとき
  はインターネットで近隣国までしらべると格安が見つかる。航空券は片道より往復料金の方が安いこ
  とがある。成田−カナダ:バンクーバー往復FIXで34,000円。

 ○一般的に世界の大都市では駐車余裕がなく、路上駐車は厳しく罰金を取られる。もっとも旅行者は逃
  げてしまうが。

 ○日本式お風呂は日本や韓国等のごく一部の国にしかなく、海外では諦めるしかない。

 ○中南米の原住民(インディヘナ)でも田舎になると、風呂に入って身体を洗うという習慣が極端に少
  ない。徐々に入浴するようになっているが、田舎では風呂場がない家が多く、たまに川で洗う人がい
  る程度である。これは砂漠の民も同じで、彼らの家に宿泊するときは心得ておきたい。

 ○イスラム圏では、普通のときより断食期間(ラマダーン)のときのほうが食料が豪勢になり、より多
  く消費する。このようなときに家庭に招かれたら、地元の伝統料理が賞味できる。

 ○イスラム圏では、メッカのカーバ神殿が映っている写真を持参すれば、市民との交流が格段に計れる。
  「すでに巡礼した(これをハジという)」「これから巡礼する予定」といえば破格の待遇になること
  あり。

 ○車のバッテリーを汎用自家発電機で充電すると電圧が一定せず、壊れることがある。

 ○米国等の先進国では、給油にクレジットカードが不可欠の所がある。

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