地球ドライブのノウハウ(27)地球のドライブルート


■基本事項

 ○5大陸をドライブするメインルートはいくつかある。

 ○各国の政治事情、紛争等により変化が激しく、時々入出国や通行が制限されるので、常に国際情報に
  注意すること。

■大陸別ルート

 ○北アジア----ロシア東岸のウラジオストック、ザルビノ、ナホトカ、サハリン等からすべての旧ソ連
        諸国、ヨーロッパへ横断可。南アジアを回って一周も可。ただし、北アジアの冬季は厳
        冬のため困難。それでも毎年、厳冬季にロシア西北部のムルマンスク港から東南部のウ
        ラジオストック港へ”厳冬季ラリー”が行われているので、四輪駆動車なら不可能では
        ない。

  o補足

   ・富山の伏木港、新潟の新潟港からロシアのウラジオストックにロシアの船便あり。

   ・夏季は稚内からサハリンのコルサコフに、サハリンのホルムスクからは大陸側のバニノにフェリ
    ーあり。

   ・ロシアからサハリン、モンゴル、カザフスタン等旧ソ連圏には入出国できるが、チェチェン、グ
    ルジア等のコーカサス地方は危険度によりときどき不可。

   ・陸上でモンゴルへ外国人が出入りできる唯一の国境は、ロシアのバイカル湖南方のウランウデ→
    ナウシキ、モンゴルのスフバートルとの線路沿いの国境のみ。ただし、少しずつ他の国境も開放
    されている。

   ・キルギスタン東部と中国西部の国境では、中国のカシュガルまでの一時輸入許可証を発行しても
    らって二輪車でツーリングした人がいる。車もできるかもしれない。ただし、200米ドル位は
    かかりそう。

   ・二輪車走行の実績として5/31富山の伏木港発、6/3ウラジオストック着、7/14ポルトガル最
    西端のロカ岬着。1日600〜900km走れるときもあり、合計23,451kmでタイヤとコンタクトポ
    イント各1回交換のみで行けた例あり。このルートはカルネなしで、日本車でも可能。

   ・ユーラシア大陸を横断し、ヨーロッパと日本海を結ぶロシアのルートは最後のチタ⇔ハバロフス
    ク間(大部分は未舗装)の2,125kmが2004.2に完成。100〜200km毎に給油所・宿・店あり。
    モスクワより東は主にシベリア鉄道沿いに車が通れる道ができた。

   ・フランスのパリ⇔3,120km⇔ロシアのモスクワ⇔6,300km⇔ノボシビルスク⇔7,370km⇔クラ
    スノヤルスク。その東のイルクーツク、ウランウデ、チタ、ハバロフスク、ウラジオストック、
    ナホトカへ。ノボシビルスク西方約700kmのオムスク⇔3,500km⇔チタ。チタ東方のスカボロ
    ディノから約1,000km北へあがってヤクーツク⇔2,000km⇔オホーツク海岸のマガダンへもゆ
    ける。ヤクーツク⇔2,500km⇔ウラジオストック。6〜8月は自転車、徒歩、テント泊でも可。

   ・ヤクーツクからレナ河を下り北極海河口まで船で往復できる。

   ・エストニア→ロシアのモスクワ→オムスクまで4,500km→チタまで8,000km→大半は未舗装で
    ハバロフスクまで9,200km。

   ・ 国後島の港は水深が浅く、船は沖合い停泊。

   ・北朝鮮、中国は車での入国は不可。

 ○南アジア----バングラデッシュからヨーロッパへ横断可。ヨーロッパから北アジアルートを回って日
        本に帰国も可。

         2006.8現在、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、イラン、イラ
        ク、アラビア半島は詳細な確認が必要。韓国には下関等からフェリーで行けるがその先
        は不可能。北朝鮮、中国は車の持込を拒否している。ベトナム、カンボジア、ラオスは
        困難。タイ、マレーシアは可だがシンガポールはキャンピングカーが不可で、ミャンマ
        ーは車での入国を認めていない。

  o補足

   ・パキスタン北部のフンザを経由して最北の国境からフンジュラブ峠(4700m。11月中旬〜4月頃ま
    で閉鎖)を通って中国のカシュガルへバス便あり。

   ・ネパールの首都からチベットには中国公認のツアーがでていて、二輪車の団体でエベレスト山麓、
    聖地ラサ、聖地カイラス山等をツーリングした人がいる。

   ・イランからアルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン等の旧ソ連諸国に入出国できる。

   ・日本と中国間のフェリーはたくさんある。上海と大阪間のフェリー「蘇州号」は、往復乗船賃約
    3万円、2日間かかる。

   ・二輪車でベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、マレーシア、シンガポールの走行可。

 ○ヨーロッパ--旧ユーゴスラビア諸国は政治的に流動的だが、他はジグザク縦横断も一周も自由。

 ○アフリカ----縦横断も一周も可能だが、政治的に流動的な国が多い。アルジェリア、リビア、スーダ
        ン、エリトリア、エチオピア、ジプチ、ソマリア、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、
        ギニアビサウ、ギニア、シェラレオネ、コートジボアール、ナイジェリア等。

        2006年の政治情勢も含めてサハラ砂漠縦断ルートの簡単な順から並べると、

        @ モロッコ⇔西サハラ⇔モーリタニア⇔セネガルかマリ---多少のフランス語が必要
        A エジプト⇔スーダン⇔エチオピアかウガンダ⇔ケニア---英語のみで可
        B アルジェリア⇔ニジェール---------------------------多少のフランス語が必要
        C アルジェリア⇔マリ---------------------------------    〃
        D アルジェリア⇔モーリタニア⇔セネガルかマリ---------    〃

  o一般的なサハラ砂漠縦断ルート@〜Aは問題が少ないので省略する。難しいB〜Dの詳細。

   B ニジェールへのルートは「タマンラセット・ルート」または「ホガー・ルート」という。首都
    アルジェから南へ1,916kmのタマンラセット、さらに南へ約60kmまでは舗装道。その先の国
    境手前の集落インゲザムまでの約400kmは、まず岩砂漠で地面は固く、ときどき規則的に波打
    ったコルゲーション道(洗濯板道)。インゲザム手前約40kmあたりが砂地のゆるい下り坂で、
    南下は楽だが、北上はソフトサンドに悩まされる。インゲザムから数kmでアルジェリア側の国
    境事務所、さらに数km先は白いポールが立つニジェールとの国境。さらに数km先のアッサマ
    カにニジェールの国境事務所や食堂がある。このルートの最難関はミッシュランの地図が示すと
    おりインゲザムとアッサマカ間の十数kmのソフトサンド地帯である。ただし、年間数千〜万台
    の車や二輪車が通過しているのだから、故障さえなければ問題はない。

     国境、アッサマカ、アルリット間は約200kmで砂道。国境から約60kmあたりはソフトサン
    ド地帯だが、時速60〜80kmで勢いをつければ突っ切れる。「(24)走行法A参照」アルリットの
    南は舗装道。

     アッサマカから南下して数kmで右に大きくカーブしている砂道は、285km先がテギダン・
    テッソム、さらに182kmでアガデスへ通じており、ソフトサンドは少ない。
 
   C マリへのルートは「タネズロフ・ルート」という。首都アルジェから南へ1,547kmのレガン
    まで舗装道。ここからマリのテッサリトまで約800kmは真っ平らな砂地。当初の100km間はソ
    フトサンド地帯が多いが、ソフトサンド帯の幅は数m〜数百mだから、勢いをつければ渡れる。
    このルートには約10km間隔で道標があり、太陽電池を組み込んだ柱も立っていて夜間は明かり
    が点滅する。ただ、主たるワダチは大勢が通ったので路面が荒れていたり、大穴があったり、コ
    ルゲーション化していて高速では走りにくく、これを避けていると自然と左右のワダチを通るこ
    とになる。これを繰り返していると主たるワダチから離れすぎて方向を示す道標等が見えなくな
    り不安になるので、ときどき道標等が見える位置に軌道修正が必要である。3日位で640km先の
    国境の集落ボルジュモクタールにつく。ここには給油所も食堂もある。

     ボルジュモクタールのアルジェリア側国境事務所で出国手続をしてから(数十km先の)国境
    を通過し、160km先のマリのテッサリトの国境事務所までは比較的固い砂地。そこから283km
    先のアネフィス、さらに234km先のガオまでの道は、11〜3月位の乾季のみ通行可。7〜8月の雨
    季は不可能で、降雨量により5〜10月もダメという年もある。ガオから先は舗装道。

   D モーリタニアへのルートは、首都のアルジェから南西1,624km先のティンドーフまで舗装道。
    そこから砂地を68km南下してモーリタニアに入る。西サハラ国境沿いの砂地を約508km南下し
    て国境事務所があるオアシスのビルモグレンへ。車高が高いトラックや四輪駆動車はよいが、他
    の車や二輪車は難しい。ましてや2007.4現在は、ティンドーフの難民キャンプにいる約2万人と
    いわれる西サハラ独立を標榜しているポリサリオ・フロントが暗躍していて、モロッコ軍と小競
    り合いしていて、地雷原がある所もある。

  o補足

   ・西サハラ海岸沿いからモーリタニアへのルートあり。西サハラ南端の40kmは硬軟砂地や瓦礫
    の砂漠で、内、約5kmはソフトサンド。モーリタニア側は全面舗装道になり、北端の国境ヌア
    ディブ港から500kmで首都、さらにセネガル国境まで舗装道。西サハラ南部はエジプト⇔スー
    ダン(北部は浅い砂地)より道路条件よし。

   ・エジプトルートはスーダン北部の約600kmが砂地だが、問題なし。

   ・北からコンゴ民主共和国に入れずアンゴラにゆけないときは、コンゴ共和国からアンゴラの飛び
    地カビンダにゆき、そこからアンゴラ本土に船でゆける。

  o一般的なアフリカ横断・縦断ルートの難所は、中央アフリカのバンギからウバンギ河をフェリーで
   コンゴ民主共和国のゾンゴへ渡り、ここから熱帯雨林の泥道をウガンダ、ブルンジ、ルアンダ等へ
   のルートである。ゲメナ、リサラ、ブンバ、ブタ、キサンガニの1392kmは、12〜2月は比較的雨
   量が少なくてよいが、その他の月は雨次第でときどき泥道と化す場所がある。キサンガニからの
   662kmは、一部を除いて舗装になった。この区間はアフリカ縦横断の最難所だったが、これで問
   題が一つ解決した。参考までに首都の乾季は6〜9月、雨季は10〜5月である。

 ○北中南米----縦横断も一周も可。アラスカからパナマへ、パナマからコロンビア等の南米へは車を船
        で送れば、南端のティエラ・デル・フエゴへ可。パナマとコロンビア、ベネゼエラとガ
        イアナ間には道路なし。

  o補足

   ・アラスカハイウェーの北端はデッドホースで、その先は石油基地プルドーベイ。アラスカ州最北
    端のバロー岬(Barrow、北緯71度16分)へは道がなく、デッドホースから飛行機でゆける。

   ・カナダのバンクーバーからメキシコシティまでは、オートバイで2週間でゆける。

   ・パナマとコロンビアかベネゼエラ間は、諸事情により船便がない時期がある。飛行機は常にある。

   ・ベネゼエラからブラジルのボアビスタ⇔マナウスは全区間舗装道路。

   ・ベネゼエラ⇔ガイアナ、スリナム⇔ブラジルは道路なし。

   ・ベネゼエラ⇔ブラジル⇔ガイアナ⇔スリナム⇔仏領ギアナ⇔ブラジルの乾季ルートあり。

   ・海抜4,000〜5,000mのボリビアのウユニ湖はチリのアタカマ高地に向けて7〜10月の乾季のみ通
    行可だが、その年の降雨量により4月からでも通れることがある。純白の広大な塩湖底は別世界
    で大人気。

 ○オセアニア--オーストラリア、ニュージーランドは縦横断も一周も可。

■世界一周ルート

 ○2007.6現在、上記のルートをつなげば可能である。ヨーロッパとアフリカ間には多数のフェリ
  ーがあるし、5大陸には相互に貨物船のルートがあり、大きな港から車を船積みして大洋を渡れる。

 ○大陸別の一周・縦断・横断の難易度を政治、治安、ビザ、情報収集、道路、国境手続、予防注射、車
  の修理、車の部品調達、ルート、両替、郵便、E−メール、写真、電話、気候、言葉、物価、カルネ
  等を総合的にに比較して楽な順から並べる。

  @ ヨーロッパ
  A 北中米
  B オーストラリア
  C 南米
  D アジア
  E ユーラシア(旧ソ連16か国)
  F アフリカ

■政治・物理的に通行可・否のルートをご存知の方は教えてください。
 
 ○中国(含、チベット等の地方)、北朝鮮、ベトナム、カンボジア、ラオス、シンガポール、ミャンマ
  ー、ブータン、アフガニスタン、イラク、クウェート、サウジアラビア、バーレン、カタール、オマ
  ーン、アラブ首長国連邦、イエメン、イスラエル(ヨルダン間の一箇所は可)、パレスチナのガザ地
  区とヨルダン川西岸、旧ユーゴスラビア、リビア、スーダン西部、エリトリア、ジプチ、ソマリア、
  シエラレオネ、リベリア、ギニア、ギニア・ビサウ、それぞれの周囲国との現況接続ルート。

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