地球ドライブのノウハウ(28)地球のドライブ計画


■全体計画

 ○本書の各項目を参考にする。

 ○確固たる目的の設定、体力増強、十分な資金づくり、情報収集、車の整備技術習得、語学の修習等は
  不可欠である。

 ○細部は省いて大枠だけ計画し、後は現場で決める場合。

  0長所

   ・現地で初めて見聞し体験すると感動が大きい。

   ・地球相手の広大で長期の旅は、事前に細部を決めても無駄になることが少なくないから、計画自
    体が無駄である。旅の性格上、単に基本をしっかりし、しょせんは種々の事情で臨機応変に対応
    せざるを得ない。

   ・事前準備期間が短いと、燃え上がった情熱が冷めない内にスタートできる。

  0短所

   ・せっかくの観光スポットを見落としたり、ゆきたいルートを変更せざるを得なかったり、観光時
    期を誤って見られない等無駄が多発する。

   ・計画が粗いと寒暑や乾季雨季の季節、興味対象の優先順序、資金補充予定都市、車の部品調達予
    定国、車の修理予定国、ビザの取得計画---がデタラメ・非効率になり円滑な旅の計画に重大な支
    障をきたしやすい。

   ・限られた予算で精一杯努力し、最大の効率で最大の満足が得られるか---は疑問である。

 ○必要な事項はできる限り事前に、かつ詳細に調査して計画する。現地ではさらに直近情報を収集して
  計画をよりよくする場合。

  0長所

   ・せっかくの地球ドライブを限られた予算で精一杯努力し、最大の効率で最大の満足が得られやす
    い。極力無駄を省ける。

   ・現地では種々の事情で臨機応変に計画を変更しなければならないとしても、一応優先順位通りの
    世界が見られ、目的が達成される。

   ・予定した予算、旅行期間、ドライブ時期、ドライブルート---を達成しやすい。

  0短所

   ・あらかじめ訪問したい地を詳細に調べると、再確認の旅になり、現地での感動が少なくなる。

   ・せっかく調査しても為替レート、その年の雨量、雨季の終了時期等、無駄になることが多い。

   ・事前準備期間が長いと、燃え上がった情熱が冷めしまって、計画が頓挫しやすい。

 ○5大陸をめざすなら、北半球と南半球のベストシーズンを上手に組み合せるべきである。しかし、手
  持ち資金や旅行期間等の制約があるなら、最優先の大陸を中心に計画するとよい。

 ○スタートは、北米やヨーロッパ等の先進国から始めると問題が少ない内に地球ドライブに慣れてよい。
  スタートしていきなり開発途上国で種々の難問に遭遇すると、慣れないから判断を誤り苦労する。こ
  れを繰り返していると苦労のあまり前進する情熱を失いかけ、旅が頓挫しかねない。しかし、車の故
  障が少ない内に開発途上国をまわり、車が傷んできてから先進国をまわるというのも一考に値する。

 ○目的大陸や国が少なければ、ベストシーズンを選びやすい。また時々帰国を計画しているときは、シ
  ーズンオフに帰国すれば効率がよい。

 ○例えば、北米大陸のアラスカ北端から南米大陸南端までの「最短ルートの縦断のみのドライブ」は、
  半年で行ける。しかし、アメリカのイエローストン公園、ペルーのマチュピチュ遺跡やブラジルのイ
  グアスの滝も、等と立ち寄り箇所を広げてゆくと半年では足りず、北中南米大陸の通常の旅は最低2
  〜3年は必要である。

 ○旅の途中でアルバイトを考えているなら、賃金が高い先進国に限る。その際は他の所をベストシーズ
  ンに訪れ、季節はずれにアルバイトをすればよい。

 ○旅行中はビザ、泥道、政情激変、泥棒、病気等でルートの変更を余儀なくされる。最初からこのよう
  な状況に備え、頭を柔らかくしておくと途方に暮れなくてすむ。泥棒や詐欺等には必ず遭遇すると思
  って間違いない。

 ○長旅は必ず車のオーバーホール等が必要になる。これらは早めに、できれば先進国がよい。命や人生
  を託す車だから、高くついても品質保証がしっかりした国がよい。開発途上国でいいかげんな修理を
  され、その後どれだけ苦労したり、危険にさらされたり、計画が狂ったり---したか、経験者は自信を
  持ってお薦めする。

 ○先進国のタイヤや車の部品は開発途上国製より高価だが、必ず報われる。重要な部品等を安易に開発
  途上国製の安物にすると必ず痛い目に遭う。

■大陸別計画

  目的が走破なら比較的簡単だが、立ち寄り箇所が増え、滞在期間が長くなると計画は千差万別になる。

 ○北米、中米

   アラスカやカナダは暖かになる5〜9月に予定し、その他の地域はいつでも可。縦横断、周遊も可。
  スタート地点は種々の手続が比較的簡単なカナダや米国の東西海岸の主要港がよい。

 ○南米

   南米南端地方は暖かくなる11〜3月に予定し、その他の地域はいつでも可。縦横断、周遊も可。スタ
  ート地点は北中米からゆくか、種々の手続が比較的簡単なベネゼエラ、コロンビア、エクアドル、ペ
  ルー、チリの主要港がよい。ブラジルの主要港は手続が難しい。

 ○アフリカ

   縦横断、周遊もできるが酷暑、雨季、内戦、伝染病の蔓延、政治的に入国困難等の理由で計画は緻
  密性が必要。2006年現在の避けたい危険な国はアルジェリア、リビア、チャド、スーダン西部、エリ
  トリア、ソマリア、コンゴ民主共和国、リベリア、コートジボアール、ギニアビサウ、ギニア・コナ
  クリ、シエラレオネ、ジンバブエ。一般的なルートは、

  @ モロッコ−西サハラ−モーリタニア−西・中央アフリカ---コンゴ共和国−カビンダ−アンゴラ−
    ナミビア−南ア

  A モロッコ−西サハラ−モーリタニア−西・中央アフリカ---コンゴ民主共和国−ウガンダまたはル
    アンダ---東アフリカ---南ア

  B エジプト−スーダン−エチオピア−ケニア---中央・西アフリカ---南ア

   アルジェリアのテロ等が収まって通過できれば、

  C アルジェリア−ニジェール---中央・西アフリカ---南ア

  D アルジェリア−モーリタニア---西・中央アフリカ---南ア

 ○ヨーロッパ

   スカンジナビア半島は5〜9月、他のヨーロッパも4〜10月がドライブシーズン。ルートは東のモス
  クワ、イスタンブールまで自由に選択できる。

 ○ユーラシア(旧ソ連)

   ドライブシーズンは6〜9月。主な幹線は舗装されているが、シベリア東部のチタ−ハバロフスク間
  約2,100kmは非舗装道。ビザ取得は計画的に、車の修理も限定された都市しか期待できないので、計
  画的にすべきである。厳冬期にロシア北西部のムルマンスクから南東部のウラジオストックまでラリ
  ーが行われているので、四輪駆動車でなら可能だが、観光気分にはなれないだろう。

 ○アジア、中東

  o車では入国できない北朝鮮、中国、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、アフガニスタン、
   イラク、レバノン、パレスチナ等を除く。

  oシンガポールはキャンピングカーは不可で乗用車は入国可。

  oアラビア半島界隈の中東諸国はビザが得られるか否かで決まるが、季節は酷暑を避けて10〜3月がよ
   い。

  oトルコ、イラン、パキスタン、インドの北部は寒すぎる12〜3月を避けたい。

  oバングラデッシュ、インド、スリランカ、パキスタン、イエメン等は暑すぎる4〜9月を避けたい。

  oアジアの東端はバングラデッシュまでで、ミャンマーや中国には入れない。

 ○オーストラリア

   舗装道路は一年中ドライブできる。12〜3月は暑いので、内陸入りは車の故障を考えると十分な準備
  が要求される。縦横断、周遊と自由に計画できる。

■地域別計画

  全体計画でほぼドライブ時期とルートが決まる。あとは現地の直近情報を参考に計画を見直せばよい。
 病気、ケガ、アルバイト、お気に入り地、現地人との恋愛事情、日本からの車の部品の取り寄せや車の
 オーバーホール、ドライブシーズン終了等、実際にドライブしてからでないとわからない課題がたくさ
 ん待っているのがこの旅である。

■国内計画

  日本の面積の何倍もある大国は縦断、横断、周遊、ジグザグドライブ、拠点を中心に国内を車以外の
 旅も組み合せて自由に、といろいろ設定できる。人生に一度しかないチャンスかも知れないと思えば、
 予算や期間の範囲内で徹底的にゆきたいところを調べ、優先順位をきめて、あとは全体計画の中で何を
 優先させるか。地球をすべて見るわけにはゆかないので、必然的に取捨選択の旅にならざるをえない。

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