■ロシア本土 カリーニングラード(リトアニア国南方の飛び地) サハリン(旧樺太) 千島列島(北端のシュムシュ島から南端のウルップ島までの18の島。さらに南の日本領土であるエト ロフ島、クナシリ島、シコタン島、歯舞諸島。太平洋戦争後、日本がポツダム宣言を受諾 して終戦となった後の1945.8.28〜9.5迄の間に、これらの北方四島を占領)。 ○言語 主言語はロシア語で、キリル語から派生した33文字で構成。最低限の言葉をマスターすれば旅は可能。 英語は都会のごく一部でしか通用せず、ロシア語=キリル語と日本語の会話集や翻訳機は便利。 10か国語音声機能付おしゃべり翻訳機 WINGVOCAL E-1(ヨーロッパモデル)14,500円。英語、ドイツ 語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語(ロシア文字アルファベット)、 中国語(漢字、アルファベット)、韓国語(ハングル文字、アルファベット)、日本語(かな漢字、ア ルファベット) ○ビザ o綿密な計画が必要。モンゴルでは取得不可。 o観光ビザは原則として全域・全日程での宿の予約が必要。 oビジネスビザは宿の予約が不要。1〜6か月間有効や、複数回入出国ビザもあるが、費用は少し高い。 観光目的でもこのビザを取れば問題はない。 o駐日ロシア連邦大使館領事部、大阪・新潟・札幌の各ロシア総領事館で直接取得可。新潟領事館のみ 郵送で取得可。他の国内代表機関は郵送不可。 o申請書は在日ロシア各総領事館等のホームページからダウンドードできる。 oロシアの大使館・領事館にビザを申請するときは、原則として招聘(しょうへい)状=インビテーシ ョン・レターを事前に得ること。インビテーション・レター取得は日本の旅行社に依頼するかEメー ルでロシア国内の業者に頼むことになるが、日数がかかる。 oインビテーション・レター(ビザ・サポート・レター)は後日のトラブル防止のために複写をつくり 常時携帯すること。オビール(外人登録署)や交通検問所では必要。 o観光ビザ用のインビテーション・レター申請・取得は、訪問都市欄にロシアの行き先を書いたものを 取得しないと入国後に行けない地点があるので、全行き先申請と宿の予約(1泊2,000〜3,000円)をし なければならない。ただ実際は、主要都市以外の地はうるさくないようである。 oビジネスビザは入国ビザしか発行しない。ロシア出国に当たっては主要都市の内務省出先機関で出国 ビザを取得しなければならない。中央アジア諸国複数回出入りを含めた長期ドライブには複数回入国 ビザが(マルチプルビザ)が必要。 oビザ申請時はアンケートも必要で、用紙は日本の駐日ロシア連邦大使館領事部、大阪・新潟・札幌の 各ロシア総領事館のホームページからダウンドードできる。アンケートには、中学以上の学校の名・ 所在地・電話番号、勤務先名・所在地・電話番号・上司等の名が必要なので厄介である。ただし、東 西冷戦下の旧共産主義時代の典型的なお役所仕事の遺物で(活用することは皆無)、それゆえ「適当 に書いてもビザはくれた」という人がいる。 o滞在期間が3か月以上は「英文の非エイズ検査診断書」が必要。近所の保健所で約3,000円、2週間位で 取れる。書式は在日ロシア各総領事館等のホームページからダウンドードできる。 o日本国内からの申請は、 @ 旅券 A インビテーション・レター B 写真(縦4cm、横3cm)3枚 C 英文の非エイズ検査診断書 をロシア総領事館等に持参すれば、申請後1か月後位に指定先に郵送される。郵送代は申請者負担。 oインターネットのウエブサイト russia-visa.com でもインビテーション・レター取得可。3か月間 有効のシングル・エントリービザ220ドル、ダブル230、マルチ350。最寄の銀行から代金の送金が可能。 申請者が送金したというEメールを打った後、17営業日後に指定したロシア総領事館等にテレックス でインビテーション・レターがくる。その後、同総領事館から送金者・申請者にファックスがくるの で、ロシアの旅が終わるまでこれは携帯すること。 oビザ取得会社はいろいろあり、ある会社は複数回入国(マルチエントリービザ)、6か月間有効のビジ ネスビザは約250ドルで2週間かかる。 o日本以外の国でロシアの観光ビザを取得するにはロシアの隣接国(特に旧ソ連諸国)の旅行社が簡単。 バルト3国の内のリトアニア国首都ビィルニュスの旧市庁舎近くの旅行代理店サラトラベルでは、ロ シアのビザが即日取得可(ダブルエントリー、3か月有効で200ドル、ビジネスビザは宿泊予約[バウ チャー]も不要で国内での外人登録もうるさくない)。 エストニアのタリンでも、NEIRIS旅行代理店でダブルエントリービザが200ドルで3日待ちで取得可。 政治状況によるが、ロシアと不仲なラトビアのリガでは取得困難。前記の2国も近年は関係が悪化し、 ビザ取得は不透明。 oドイツのベルリンでもルッスホリデー(http://www.rusholiday.com/)社で「ビジネスビザ、有効期 間2か月間、ダブルエントリー」で、4〜5日待ちなら130ユーロ、2週間待ちなら80ユーロ。 oサハリンはビジネスビザでゆけば交通・宿の予約は不要で、島最大の町コルサコフまで行ける。 ○カルネ 不要。カルネのジュネーブ条約に未加入。車は国際登録証とアルファベット入りのナンバープレート が必要。車の国際登録証を取得せずに、日本のナンバープレートと車検証で走りぬいた人もいるが、正 式の国際規則ではダメ。(1949年の「道路交通に関する---」のジュネーブ協定未加入) ○首都はモスクワ。 ○通貨 ルーブル。2006年は1ドルが約30ルーブル。1ルーブルは約4円。国外持出禁止。旧ソ連時代は1ルーブ ル360円だったが、現在は約90分の1の価値に減少した。 ○旅行期 6〜8月がベストで、10〜4月は寒すぎて不可。しかし、スズキの軽四駆ジムニーで1〜2月の厳冬期に ベルギーのアントワープからロシア東端のウラジオストックまで単独(渋谷昭彦氏)で、軽四駆で、37 日間で走破した例もあるので、マイナス30度も覚悟なら可能である。雪は少ない。スノータイヤは凍結 道に不可欠。 ○接続ルート 米国以外、すべての近隣国にあり。日本海に面したザルビノ港⇔韓国東岸の束草(ソクチョ)港にフ ェリーがあり、厄介な出入国手続の一切をやってくれる。将来は韓国のプサン港にも連絡船でつながる 予定。(2007.9) ○日本からの車の持ち出し 理屈では、ロシアはカルネが使えないので日本の積出港では「自動車輸出入申告書」で"携帯品"とし て持ち出す。しかし、この手続は面倒である。そこで、日本の出入国時に税関の手続を簡単にするため、 カルネの取得を推奨する。この方が簡単という人もいる。北米大陸西岸への車の持ち出しも「実際はカ ルネが不要なのに、カナダ等はカルネなしでは受け付けない」。 ○日本からロシア東部への船便 o富山の伏木港からウラジオストック港行の人車用フェリー船は、東洋共同海運03-5541-7511やFKK エアーサービス(ホームページはhttp://fkk-air.toyama-net.com/)が運営している。乗用車やバン は5万円位、人は3万円位。ロシアの港でも車の陸揚げに多少の手間と費用がかかる。 o新潟の新潟港からも月数便あり、1〜2か月前に予約が必要。車のみなら日本の主要港から、人車共に なら富山の伏木港等と限られている。 ○入出国手続 o入出国手続に2〜3日間かかることもある。17時以降の手続きは割増料金がかかる。税関は日曜日が休 みなので要注意。 oウラジオストック入国時は3,000ドル以下の所持金とパソコンは申告不要。それ以上は必要。 o2004.1から交通保険が強制されたが、取り扱いは各地でバラバラ。広大な全土への徹底は時間がかか りそう。 oウラジオストックの通関業者には英語や日本語を話し、個人的にアルバイトしている人がいるので、 通関業務を依頼すると1万円位で済み、ロシア語のみの大変難しい通関業務から解放される。 ○入国後の外人登録 入国後は各都市・町に到着次第、72時間以上滞在する場合、地元の内務省(MVD)の査証登録局(OVIR) に登録を義務づけている。通常はインビテーション・レターを発行してくれた会社の支店等か、一流ホ テルでロシア内務省の出先機関に赴き入国カード(MIGRATION CARD)に記入して外人登録をしなけれ ばならない。ただし、規制は徐々に緩やかになっており、路上の交通警官に無登録をとがめられても 「走りっぱなしできたので登録できなかった」といえば無罪放免された、という人がいる。 また、入国後に1回のみ登録したが、以後はいっさい登録せず、誰からもとがめられることなく出国 した人もいる。 ○出国時の手続 税関申告・検査のみで比較的簡単。 ○ロードマップ入手 oウラジオストックの本屋でロシア、中央アジア、ヨーロッパの地図が安く買える。ロシア地図は表紙 が赤・黄色の「GEO CENTER」がよい。(約1,200円)ロシア語と英語版があるが、両方あると便利。 o日本で買える「EURO ATLAS」地図よりロシアで買える「アトラス」の方がくわしい。地方毎に地方の 地図があり、ホテルのキオスクでも買えるが、これはロシア語のみ。 ○地勢 日本の約46倍の世界最大国。ヨーロッパ→首都モスクワ→約1,500km東のウラル山脈までは平野。ウ ラル山脈は約3,000km南北に走り、この東方約2,000km先のエニセイ川までは湿地帯。そこから東端 のベーリング海峡までは台地か山地になっている。 ○時差 東端のチュコト半島岬から西端の飛び地カリーニングラード迄の時間帯は11ある。 ○気候 o北から南下するほど気候は変わりツンドラ気候、寒帯気候、冷帯気候、温帯ステップ気候で、全国的 には寒冷で東に進むほど年較差の大きい大陸性が強くなる。ヨーロッパとロシア南部は温和だが、東 シベリアは人間が居住する地域では世界の最寒地である。ハバロフスクの6〜7月は暑く、半袖と短パ ン姿が見られる。モスクワの8月中旬はすでに秋の気配。 oヤクーツク⇔マガダンの通称コリマ街道の北側に少し入った所にあるオイミャンコン村は「1933年、 人が常に住んでいる場所での世界最低気温である氷点下68度を記録」。この村の永久凍土は地下200m 位まで凍結しているが、近年は表面数メートルが氷解し始めた。 ○天然資源 すべての天然資源に恵まれ、特にシベリアではあらゆる資源がある。農業と工業はヨーロッパ側から ウラル周辺までが盛んである。重化学工業やエネルギー産業は西シベリアの鉱物資源やチュメニ油田に、 近年はハリャガ油田、コビクタやレボベレジュノエのガス田、サハリン沿海部の油田や天然ガスも活況 を呈している。石炭の露天掘り面積は北海道の数倍もあり、埋蔵量は人類の年間消費量の数百年分ある。 ○ラリー モスクワとウラジオストック間で自動車ラリーも開催されている。厳冬期でも北西のムルマンスク港 から南東のウラジオストック港まで自動車ラリーが行われており、両ラリーとも日本人を大歓迎なので、 お好きな方はどうぞ。 ○旧ソ連崩壊 アゼルバイジャン、アルメニア、ウクライナ、ウズベキスタン、エストニア、カザフスタン、キルギ ス、グルジア、タジキスタン、トルクメニスタン、ベラルーシ、モルドバ、ラトビア、リトアニア、ロ シアの15か国に分かれた。 ○集団安全保障条約機構(CSTO)7カ国 ロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン。 ○CIS(コモンウエルス・オブ・インデペンデント・ステーツ) 旧ソ連邦で形成する独立国家共同体でリトアニア、ラトビア、エストニア、グルジアを除く共同体加 盟国は11か国。 ○経済 旧ソ連はロシアの中央集権体制の基、各共和国の分業体制で成り立っていた。これが崩壊したので、 ロシアも自立するために「基本的にはすべてを自前で整えなければならない」わけだが、社会整備に即 効薬はなく、混乱と貧困にあえいでいる。貧しいインドと比較して”白いインド”と揶揄されるほどで ある。近年は原油や天然ガス等の天然資源価格が上昇して経済は上向いているが、ロシア人が気軽に世 界旅行できるまでには、まだ間があるだろう。ほとんどは貧しくボールペン、電卓等の土産でも喜ばれ る。年金生活者には月320ルーブル(1,200円)で生活している人がいるという。 ○物価 安い。車道がある村なら銀行や店(米、スパゲッティ、ラーメン等)もある。 ○歴史的影響 地政学的に、ロシア南部はモンゴル、ペルシャ、オスマントルコ、イスラム教等の影響が非常に色濃 く残っている。また、シベリア開拓等でユダヤ人や朝鮮人等の多くのマイノリティ部族を強制移住させ、 その酷使の史実が各所で垣間見られる。 ○給油所 ロシア語でベンザカランカ。給油所は適当にあり、ガソリンはベンジン、オイルはマスーラで、在庫 がないこともあるので、常に予備燃料を携帯すること。まず窓口で支払、後で給油(中国も同じ)。 ○ガソリン リッター40〜60円、オクタン価は92位。高オクタン価のガソリンは大都会にしかないが、日本のレギ ュラー仕様のエンジンはオクタン価90以上の燃焼設定なので、問題なし。オクタン価が90より低くエン ジンの燃焼効率が悪い場合は、「オクタン価向上剤」を給油所等で購入し、ガソリンに混ぜればよい。 ○悪徳警官・役人・軍人 oロシアの警官や司法を甘く見てはいけない。ほとんどは問題ないが、一面では日本と根本的に違う。 2006年、元KGB情報部員のリトビネンコ氏が放射性物質のポロニューム210で暗殺されたことでも有名 だが、ロシアは恐ろしい警察・司法後援国家である。日本の刑務者服役者は6.4万人。人口比でいえば ロシアは1.1倍だから7万人の勘定になるが、これが85万人。日本の13倍の悪人がいる?多くは刑務所 で栄養失調や感染症に罹っている。スターリン時代のような悪夢が続いている。 oある警官は「1日10人逮捕のノルマ」が課せられており「スカーフを盗んだ人は刑務所で4年の刑、子 豚を2匹盗んだ人もコカコーラ1本盗んだ人も4年の刑に服している」。裁判の結果無罪になる率は、日 本が20%でロシアは0.8%。警官や司法関係者は「狼男」等といわれて怖がられている。 o旅行前に、ロシア語で「この日本人に問題があれば日本大使館に連絡されたし」という各地駐在日本 大使館・領事館名と各電話番号を入れた紙をつくって持参し、悪徳警官・役人・軍人とおぼしき者に 無心されたとら、これを見せれば撃退効果がある。カザフスタン駐在の日本大使館は、旅行者の希望 により、このようなビラを発行している。 o警官の大多数はまじめな警官で毅然としている。25%位は悪で、外国人とみるとせびりにくるのでな るべく逃げる。まったく遭遇しなかった人もいる。犯罪捜査警察員はミリッサ、交通警察員はガイー。 新聞社、テレビ局、日本大使館等の電話を調べておき、悪徳役人等には「ここに電話して聞いてみる」 といって電話所在地をきくと放免してくれることあり。 ○悪ガキ、酔っ払い 全般的には親切だが、田舎は悪ガキ、酔っ払い者が多く、からまれることあり。ロシアには非白人系 人種を軽蔑している者もおり、遭遇したらいち早く逃げる。銃所持者多し。強盗が車を止めて襲うこと があるので、怪しいときは逃げること。 ○クレジットカード 一般的に使える種類はアメリカン・エキスプレス、ビザカード、使えないのはマスターカード、シテ ィカードだが、トラブルが多く、使用しないほうが無難。ATM機は少ない。 ○握手 イスラム教徒は左手が不浄の手なので要注意。 ○結婚詐欺 旧ソ連崩壊後は各国とも貧しく、美人女性が日本に婿捜しにきている。ただし、インターネットを利 用した詐欺被害(特に、日本人男性がロシア人女性に騙される例)が増加している。この詐欺被害は、 インターネットの各種出会い系サイトを通じて知り合った人物から、日本への渡航費用やビザ取得に必 要だと数千ドルの送金を要求される。ところが、先方が現金を得た後は、そのまま音信不通となる。 ○ロシアは全国不統一 ロシアは広く、文明化は同時でない。地方によって日本人旅行者の取扱が違うし、規則も頻繁に変わ るし、強制交通保険等の適用度もバラバラ。